ピック・サン・ミッシェル Pic Saint Michel

コル・ド・ラークcol de l'Arc(標高1736m)
ヴェルコール地方の前置きが長くなりましたが、いよいよ本番のランドネ。目指すは、標高1966mのピック・サン・ミッシェルPic Saint Michel。オーベルジュを9時に出発し、フランソワさんにレ・ゼスピナスLes Espinasses(1180m)のパーキングまで送ってもらう。頂上までは約3時間かかるという。帰路はヴィラール=ド=ランをぐるっと回って村の反対側から下りてくるトレイル。コンディションによって、近道、ちょっと遠回り、そしてぐるっと大回りの選択肢があるが、中間の道は目印がなく見逃しやすいとのこと。

レ・ゼスピナスのパーキングの案内板一見、入っちゃ行けないっぽい放牧地帯
レ・ゼスピナスのパーキングの案内板一見、入っちゃ行けないっぽい放牧地帯

天気は快晴のランドネ日和。パーキングからすでに、方向指示看板があるので、トレイルを間違えることはない。朝晩は冷えているので、ウインドブレーカーを着て出発したが、歩き出すとすぐに暑くなったきた。少し登って、マシレ高原Praires de Machiretを抜けると、放牧のための柵があり、一瞬戸惑う。朝早いからか、トレイルには私達だけで、柵を超えて進むのか、ルートを間違ったのか…。どうやら、柵のロープを外して、放牧地帯を抜けるらしい。閉め忘れないように、と注意書きがある。後ろから男性2人組が接近して来た気配があり、正しいトレイルなんだ、とちょっと安心。


蟻塚朝からせっせと働く蟻達
蟻塚朝からせっせと働く蟻達


放牧された牛達
杉の葉がこんもりと山になった蟻塚を発見。無数の蟻がせっせと往復している。人気も少ないし、野生の動物に会えるのかも、と少しドキドキ。ヴェルコールではマーモット、アイベックスなどが見られるとのこと。耳を澄ますが、バッタやコオロギなどの虫の声、そして何かが潜んでいそうなガサガサとした音がたまに聞こえるものの、動物の影はなかった。が、カラン、カランと鳴り響くカウベル。放牧された牛の群れに出会いました。行く手の少し先を渡る牛達は、皆、私達をちらっと見て、立ち止まる。ランドヌールに興味があるようです。

森を抜け、視界が開けるとGR91®と交わる。晴天の8月の土曜日と言うこともあり、ここからはランドヌールが多い。グルノーブルから来る人はラン=アン=ヴェルコールLans-en-Vercors村のレ・バルネットLes Barnetsのパーキングを出発するのだ。ということで、人が多いと、トレイル間違いもなく安心だが、ここからはハードな登り。エンリックは他のランドヌールを追い越すな、とゆっくり登りたがるが、私はある程度の加速をつけて、自分のリズムで上がりたい。だから、ゆっくり登っている人が前にいると邪魔なので、どんどん追い抜かす。



ここで出会えるロンドヌールは老若男女。ロングトレイルの若いバックパッカーもいれば、年配グループ、そして犬と駆け上がるトレイルランナーも。中高年の人は必ずトレッキングポール装備。エンリックも必須だと投資をしたがっている。ポールによって足への負担が登りで15%、下りで30%減るという。私的には必要性を今のところ感じていないが、足が長くて、細い西洋人には必需品なのかも、と。


到着点が見えて来る頃には、汗だく。リュックを背負った背中は勿論、こんなに汗をかくことは滅多にないので、これもまた快感。針葉樹の濃いグリーン、そして草原の淡いグリーンには濃いピンクのテガタチドリOrchis moucheronの花畑。石灰岩の山肌が白く眩しく、雨風の浸食で荒々しくギザギザに切り立った表面から大自然のパワーを感じる。



コル・ド・ラークcol de l'Arc(標高1736m)の峠に到着。ここからはヴィラール=ド=ランの村が見下ろせ、その裏に広がるヴェルコールの高原、そして反対側にはグルノーブルの町、その向こうに広がるアルプス、モン・ブランが見えるのだ。勿論、こんなに晴天でもモン・ブランの辺りはガスってぼやーっと見えるわけだが、天候に恵まれなかったらこんなすごいパノラマにはお目にかかれなかった訳で、とてもついている!

モン・ブラン
コル・ド・ラークcol de l'Arc(標高1736m)コル・ド・ラークcol de l'Arc(標高1736m)


今回のランドネ旅行ではたくさんシャッターを切ったが、エンリックとのツーショットはなかったので、コル・ド・ラークで記念写真を撮る他のグループの女性にお願いして、パシリ。でも、私が思ったバックに頂上と言うものではなく、後ろにランドヌールが芋を洗うようないけてない一枚なので、がっかり。私が写ってる写真が少ないのは、エンリックが登りも下りも歩くことに一生懸命で余裕がないと言う証。今度は、もっと撮ってね〜。

反対側にはヴィラール=ド=ランを見下ろす今回のランドネの唯一のツーショッット


といわけで、写真タイムと休憩をしているうちに、かいた汗も冷えてきたので、寒くなる前に目的地の頂上へ。今度の登りは足場が悪い。石灰岩がゴロゴロしていて、足の置き場に注意しながら進む。こういう場所を駆け上がるトレイルランナーの気が知れないが、スリルがあって病み付きになるのかもしれない。岩の隙間に生える草花も高山植物っぽくなってきた。バリザージュが描かれた岩がケアン(ケルン)になっていた。いくつか見かけたが、あまり道標的な役割は果たしていなかった。単なるランドネ記念ということか?



ピック・サン・ミッシェルの頂上
頂上です!慰霊の十字架があるサン・ミッシェル鋭峰は所々少しガスってて、雲の中。達成感が沸き上がる。先ほどのコル・ド・ラークより高いだけあって、パノラマの景色も抜群。結局、休憩を入れて2時間半で到着したので、時間的には良いスコアだ。前地点で写真を撮ってくれたグループの女性軍は鋭峰まで行こうか迷っていたが、結局ぜーぜーいって登って来たので、木の板を岩にのせたベンチの席を譲ってあげた。ここまで来ると麓とは人種も異なり、パラグライダー持参で風を待つ人なんかもいたり。エンリックは下降で膝が痛くなるので、パラグライダーで下山したらいいのかも。小学生くらいの子供も親子でいて、けっこうガッツのある子だと関心。それから、グライダーが山頂すれすれに飛行。これも、すれすれがスリルなのか、結構怖かったんですけど。
十字架の上にちょうど羽ばたき下りたキバシガラスChocard à bec jaune。日本のカラスくらいの大きさで明るい黄色の嘴だ。

キバシガラス Chocard à bec jaune
まだ12時前だけど、せっかくだから上でご飯にしたい。頂上は石ばかりで風も結構あってピクニックには不適だったので、少し下りた草むらに陣取る。さっきのキバシガラスは、珍しい鳥だと、シャッターチャンスを狙ってたんだけど、ピクニックをしてたらパリの鳩のように群れだって来た。というわけで、結構写真撮影も簡単。メニューはヴィラール=ド=ランの広場のパン屋のバゲットに昨日の残りのリエット、そしてスパーで見つけたヴェルコールのブルーチーズ。パンはなんかふんにゃりと柔らかいバケットで物足りなかったので、明日は違うパン屋をトライだ。

のんびりピクニックの後は、下山は時間もたっぷりなので、のんびり下山。コル・ド・ラークを下りてから、帰路は違う道を通るというトレイルなんだけど、びくびく下山のエンリックは、下りに疲れてまた登り道に行きたくなったらしく、この道じゃない?とまた隣の山頂に登る道を指す。そこへ行った人も見たけど、ロードブックを見ると、GR91®だよ、と彼の登りたい気持ちを抑え、間違えずに帰路へ。分岐点まで来ると後はなだらかな上り下りでヴィラール=ド=ランを見下ろしながら、森へと入る。最短距離の帰路へのトレイルも分かりやすくすぐに分かったが、物足りなかったので遠回りコースへ。その次の分かりにくい分岐点は完全に見逃し、結局ぐるっとヴィラール=ド=ランコースへと。道中、薮から現れた男性は、ここはどこなんだ?と。ロードブックを見せて、多分この辺りだ、と言うと自分はコシェットcochetteの駐車場から上がって、頂上まで行って戻って来たとこで、出発点に同じ道を通らずに戻るには…、と一瞬考え、同じ方向だ、ご一緒しよう、と勝手に先導しだした。地図も持たずに野生っぽい冒険家だ。



無人の避難小屋があるロイボンRoybon(標高1450m)
ロイボンRoybon(標高1450m)には無人の避難小屋がある。次回はこういうところを点々としたロングトレイルが夢だ。冒険家はそのまま、すたすた先を行き、いつの間にかいなくなっていた。ここまで来ると、牧場もあり、またピクニックがてらのハイキングの観光客も増えてくる。この後は、昨日のポン・ド・ラムールに出て、村へ戻ることになる。

村に着いたら、昨日は広場のテラスでビールだったので、今日は予算を削って、スパーで冷えた缶ビールを買い、パーキング脇の芝生でプールとその向こうの山を見ながら乾杯。天気はよいと言うものの、そんなに暑くはないので、この村の野外プールは利用できる期間が短いよな〜、なんて思いながら。オーベルジュに戻って、ナタリーさんに聞いたら、彼女達はコル・ド・ラークの前で断念したらしい。寒い日だったと言うこともあるが、一日コースで別の日にロイボンに行ったと言うから、私達は3日で一週間いる彼女達より歩いてるのかも、と。自分たちのレベルも満更じゃないな、とちょっと嬉しかったり。フランソワさんも、すごい遠回りしたんだね〜とちょっと驚いてました。パリのランドヌールを見直したかな〜?



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